シークレットシネマって知ってる?

当日まで何が上映されるか分からないまま、劇場で映画を観る。

そんな少し変わった映画体験をしてきた。

2026年6月25日(木)18時30分。

全国の対象映画館で一斉に上映された「シークレットシネマ」。

シークレットシネマについて、もう少し詳しく説明しておくと、公式いわく、

“映画を愛するアンバサダーが選んだ「人生で一度は映画館で観てほしい一本」を、当日までタイトルを伏せて、一夜限りで特別上映。”

するというもの。

今回が初の試みで、初代アンバサダーを務めるのは二宮和也さん。

上映前には、二宮さんご本人が登壇。

僕はその様子を、映画館の中継で見届けることができた。

若い世代のクリエイターたちが、「映画館に足を運んでほしい」という思いで立ち上げた企画。

その熱に共感して、二宮さんは参加を決めたという。

とはいえ、最初から「いいですね!やりましょう!」みたいに、二つ返事で引き受けた感じではなさそうだった。

なにしろ選ぶのは「人生の1本」。

「今日の気分で好きな映画を1本」とか、

「最近観てよかった映画」とかではなく、

「人生の1本」。

少し背負うものが大きい。

しかもそれを選ぶということは、自分の映画のセンスを見られるようなもの。

二宮さんも、そのあたりの照れやプレッシャーを冗談交じりに話されていた。

それでも参加を決めたのは、映画業界全体を盛り上げたいという気持ちがあったからなのだと思う。

お話を聞いていて、二宮さんは本当に映画が好きなんだろうなと、言葉の端々から伝わってきた。

二宮さんの映画の楽しみ方も興味深かった。

基本的には、映画館にはひとりで行く派らしい。

誰かと予定を合わせて、何時に集合して、終わったあと何食べる?みたいな映画の楽しみ方も、もちろんあるし、それも楽しいと思う。

でも二宮さんの場合は、空いた時間に映画館へ行って、その時間にたまたま上映している作品を観ることが多いんだそう。

偶然の一本。

いいな、と思った。

映画館って、そういう場所でもあるよなって再認識。

事前に観たい映画を決めて、その作品がやっている劇場を調べて、時間を調べて……って、僕はそういう場合が多かった。

でも、たまたま入ったスクリーンで思いがけず作品と出会う、というのも面白そう。

そういう偶然性も、映画館ならではの楽しみなのかもしれない。

若い頃の二宮さんは、いわゆる“失敗しない映画選び”をしていたらしい。

「打率」という言葉も使われていた。

限られた時間。

限られたお金。

せっかく観るなら、なるべく外したくない。

映画に限らず、何かを選ぶときに「できれば失敗したくないな」と思ってしまうことがある。

でも、年齢を重ねるにつれて、二宮さんの考え方は変わってきたという。

好みの幅が広がったとか。

良いものを知るためには、評価が高いものだけではなく、そうではないものも知る必要があるって。

これは僕もすごく共感する。

とても自分話になってしまって恐縮だけど

以前、僕もTwitterでこんな話をしたことがある。

リンゴしか食べたことない人が「リンゴが1番美味しい!」って言ってても説得力ないと思うし、ミカンもブドウも他のもいろいろ食べた上で「コレ美味しかった!」って言いたい。ひとつに決めなくても、美味しいミックスジュースがあってもいい。

https://x.com/gen3ww/status/2000435121376378946?s=46

二宮さんの話していた、自分がいいと思ったものだけを摂取するのではない、“選り好みしない”考え方がすごくいいなと共感した。

好みの映画だけを観ていたら、映画の良さが分からなくなる。

比較対象がないと、輪郭がぼやけてしまう。

何かを好きになるには、好きじゃないものにも触れる必要があるのかもしれない。

その積み重ねで、自分の中の見方が広がっていく。

映画の楽しみ方って、ただ「好きな作品に出会うこと」だけじゃなくて、好きじゃなかった作品や、よく分からなかった作品も含めて、自分の中に少しずつ蓄積されていくものなのかもって。

全てに意味がある。

いや、意味を求めること自体が違うのかも。

自分が好きなものだけで世界を固めすぎないこと。

色眼鏡で作品と向き合わない姿勢。

これは作品に限らず、社会に対しても大切なことなのかもしれない。

今後、二宮さんが映画を自分で作るとしたら、どんな作品を作ってみたいか。

そんな質問に対して、二宮さんは「無声映画」、つまりサイレント映画と答えていた。

これも印象的だった。

今は、情報量がものすごく多い時代。

目に入ってくるものも、耳に入ってくるものも多い。

だからこそ、あえて“無い”方が楽しめるものってあるのかもしれない。

説明しすぎない。

観る側が想像する余白がある。

それを映画館という空間で、みんなで共有する。

面白そう。

二宮さんが生み出す映画も、いつか観てみたいな。

さて、ここからは今回のシークレットシネマで上映された作品の話をしようと思う。

もう公式でも作品名を公開しているので書いてしまうと、今回上映された作品は、

・・・・・・

・・・・・・

・・・・・・

『リバー、流れないでよ』

という作品。

 

作品の核心は話しちゃうとネタバレになるから言わないけど

あえて、一言で言うと……

リゼロ旅館編……!!

 

時間が巻き戻るタイプの物語を、旅館という閉じた空間で繰り広げる作品だった。

いや、初見でフッとリゼロが頭に浮かんだんだけど、厳密にはもちろんリゼロではない。

巻き戻る時間の中で、登場人物たちが右往左往しながらも、なんとか状況を変えようと知恵を絞っていく。

トラブルももちろんあるんだけど、みんなで解決しようとする空気があって、観ていて気持ちよかった。

すごく緻密で、丁寧に作られた作品だなぁと感じた。

 

そして今回、僕が特に気付きとして大きかったのは、

カメラワークって大切なんだな、ということ。

二宮さんがこの作品のキーワードとして「没入感」と話していた理由が、観終わったあとにすごく分かった気がした。

この日の映画体験は、おじいさんになっても忘れないと思う。

五感に迫るものがあった。

シークレットシネマでこの作品を観る前と、観た後。

ちょっとだけ、自分の中の映画の価値観が変わった気がしている。

自分ひとりだったら、きっと見つけられなかった作品だと思う。

そう考えると、今回のシークレットシネマの体験って、かなりすごいことだったのかもしれない。

何が上映されるか分からないまま席に座って、暗くなったスクリーンの先で、思いがけない作品に出会う。

偶然の一本。

あなたにとって、「人生で一度は映画館で観てほしい一本」はどんな映画?

もしあったらコメントで教えてほしい。

以上、人生初のシークレットシネマ体験記でした!