読み合い合戦⸻初日舞台挨拶中継・映画『黒牢城』感想

満を持して、映画『黒牢城』を観てきました!
しかも、初日舞台挨拶中継つき。
運よく14時からの回と18時からの回、どちらも観ることができた。

先にざっくり感想を言うと、これは“戦う時代劇”というより、“読み合う時代劇”だった。
刀を振るう場面よりも、言葉を選ぶ時間。
誰かが沈黙する間。
視線の動き。
声の温度。
そういうものが積み重なって、城の中の空気がじわじわと張り詰めていく。
派手な合戦よりも、逃げ場のない城の中で交わされる心理戦に息を呑む映画だった。
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原作は、米澤穂信さんの小説『黒牢城』。
監督は黒沢清監督。
そして、キャスト陣もすんごく豪華。
本木雅弘さん
菅田将暉さん
吉高由里子さん
青木崇高さん
宮舘涼太くん
柄本佑さん
ユースケ・サンタマリアさん
吉原光夫さん
坂東龍汰さん
オダギリジョーさん
などなど。
ネタバレなしでざっくりあらすじを言うと……
織田信長に反発し、有岡城に籠城した荒木村重。
城は織田軍に囲まれ、内部では少年殺害を皮切りに怪事件が続発する。
外には敵。
内には裏切り者。
追い詰められた村重が、牢に囚われた黒田官兵衛とともに謎を追う――という、戦国×密室ミステリーの映画。
という感じ。
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今回の初日舞台挨拶中継では、
荒木村重役の本木雅弘さん
黒田官兵衛役の菅田将暉さん
千代保役の吉高由里子さん
荒木久左衛門役の青木崇高さん
乾助三郎役の宮舘涼太さん
雑賀下針役の柄本佑さん
郡十右衛門役のオダギリジョーさん
そして、黒沢清監督。
8人が登壇された。
改めて、みんな個性豊かですごいメンツだったな。
以下、本編の核心には触れずに、2回の舞台挨拶中継を観て感じたキャストさんや監督の印象などを少し。
映画の余韻が残ったまま聞く舞台挨拶は、作品の裏側を少しだけ覗かせてもらえるようで楽しかった。
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本木さんは、一見すると強面で無口っぽいイメージもあったけれど、一つひとつのコメントが的確で、MCもできてしまうし、気さくでチャーミングな方だった。
黒沢監督いわく、ロケ中に本木さんが「向いてないなぁ……」と言葉を漏らしたことがあったそう。
殿様である荒木村重を演じることに苦悶しながら取り組まれていたそうだけど、監督はそれこそがまさに村重だと感じたのだとか。
荒木村重も、殿として城や家臣、民を守らなければならない立場にありながら、自分にその役目が務まるのか、黒田官兵衛に何度も相談しに行く。
もしかすると村重自身も、自分が殿に向いているのか、向いていないのか、ずっと考えていたのかもしれない。
「向いてないなぁ……」と思いながらも、その役目に向き合っていく姿。
それこそが荒木村重だったのかも。
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菅田くんも、僕が観てきた作品に幾度となく出演されている好きな俳優さんのひとり。
黒沢監督から「ホラーが向いている」と言われていて、確かになぁと納得してしまった。
映画『キャラクター』のときも印象的だった。
目力や表情の強さ、言葉をひとつひとつ紡ぐ感じが、空気を一気に緊迫させる。
『ミステリと言う勿れ』の久能整くんを演じる菅田くんも、言葉を巧みに操っていて好きだった。
今回の『黒牢城』でも、黒田官兵衛としての表情や言葉の表現がすばらしかった……!
牢に囚われているはずなのに、言葉だけで城を動かしていく。
そこにいるだけで、空気の温度が変わるような存在感があった。
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吉高さんも、すごく好きな俳優さん。
今回の舞台挨拶でも、緩急でいうなら“緩”の部分を担っているような方で、場の空気をふわっとやわらかくしていた。
舘様との絡みも面白かった。
時差で笑い転げるの、最高だった。
その件は後述……!
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青木さんは、場をやわらかくする空気を持った方だった。
終始朗らかで、全体を見ながら会話に自然と溶け込んでいく感じ。
作中でも、殿と一緒にいる時間が長く、何かあれば殿の相談に乗り、重役との話し合いの場でも気を利かせて話の流れを作ってくれる人物だった。
その立ち位置が、青木さんご本人の雰囲気にも合っているように感じた。
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そして、舘様。
舘様はこの役のために7kg増量したのだとか!
原作を読んだとき、舘様が演じる乾助三郎が“恰幅のいい”人物として書かれていたそうで、もう少しガッチリして、和装が似合うように役作りされたらしい。
私生活やSnow Manとしての活動に支障はなかったか?という質問に対しては、やっぱり動きづらさや踊りづらさもあったみたい。
あと、いろんなところで「宮舘太ったな」みたいなコメントを見聞きしたらしく、そういう言葉ってやっぱり本人まで届くんだな……とも思った。
舞台挨拶では、本木さんに“カメレオン俳優”と呼ばれたことについて、今後の自分の目標にしたいと思えた、というすてきな話をしていた。
……のだけど、その最後に「思いました」を「おめぇました」と噛んでしまい、会場は笑いの薔薇園に。
一番ウケていたのは吉高さん。
ハイボール入ってる?!って思うくらいゲラになっていて、楽しいメンバーだなと思えた瞬間だった。
舘様は映画『火喰鳥を、喰う』では怪異な北斗総一郎を演じ、最近ではドラマ『ターミネーターと恋しちゃったら』で、所作の美しいロイヤルなターミネーター・時沢エータを演じていた。
そして今回は、戦国の世を生きる乾助三郎。
改めて、幅広い役を演じているなと思う。
これからの舘様の活躍も楽しみ。
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柄本さんのコメントもすてきだった。
先日、映画『木挽町のあだ討ち』の番宣のときのコメントを観たときも、「あ、この人ってきっと聡明な方なんだろうな」と感じたのだけど、やっぱり言葉の使い方に粋がある。
落ち着いているのに、どこかユーモアもある。
そんな機会はなかなかないだろうけど、ゆっくりお話ししてみたい人だなと思った。
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オダギリジョーさんは、服装も個性的で、アーティスティックな感性を感じた。
役の中と舞台挨拶のときで、雰囲気がまるで違う。
きっとこの方は、演じる中でスイッチが入る人なのかなと勝手に想像してみたり。
ミステリアスな雰囲気もあって、もっと知ってみたいと思える人物だった。
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黒沢監督は、我の主張が強いタイプではなく、控えめで、でも話し始めると自然と耳を傾けたくなるような監督だなと感じた。
監督にもいろんなタイプがいて面白い。
舞台挨拶でのお話を聞いていると、“長回し”が今回の映画の見どころのひとつではないかなと思った。
途中でカットを入れずに、ワンシーンを数分間にわたって撮影する“長回し”。
グッと息を呑みたくなる。
瞬きするのを忘れる。
そんなシーンが『黒牢城』にはあった。
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戦国時代劇というと、刀同士で斬り合ったり、大きな合戦があったりするイメージがある。
けれど、映画『黒牢城』では、戦う描写は意外なほど少ない。
その代わりにあるのは、荒木村重や黒田官兵衛、そして城内の人々による、言葉と心の読み合い。
誰が何を知っているのか。
誰が嘘をついているのか。
誰が誰を信じているのか。
そして、誰が誰を利用しようとしているのか。
言葉の裏にあるものを探り合う、巧みな心理戦が繰り広げられていく。
まさに、読み合い合戦。
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劇伴もクラシックでめちゃくちゃかっこよかった。
ただ、シーンによっては音楽が少なめで、そのぶん着物が擦れる音、甲冑がひしめく音、床が軋む音、風が抜ける音が引き立っていた。
その空間に、自分もいるんじゃないかと思うような妙な緊迫感。
ほんとに、息を呑むタイミングを見計らいながら作品を観ている自分がいた。
茶道のシーンもすごく丁寧な描写で好きだった。
張り詰めた空気の中にある、所作の美しさ。
静かな動きのひとつひとつに、登場人物たちの緊張や覚悟が滲んでいるように感じた。
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映画『黒牢城』を観て、荒木村重という人物のことをもっと深く知ってみたいと思った。
原作も読みたいし、歴史書も読んでみたい。
観終わったあとに、作品の外側まで知りたくなる映画。

さ、パンフレットも買えたし、ゆっくり読もっと!






